のっきーの凸凹ブログ

生きづらい系キノコがゆるゆる頑張るブログ。

【横浜中華街グルメ】翠香園の椰撻(イエター)が食べたい

久しぶりに横浜中華街おすすめグルメやります。

前回の中華粥シリーズに引き続きまして、今回はスイーツです。「椰撻」と書いて「イエター」と読む、香港発の中華菓子をご紹介します。

椰撻(イエター)とは、パイもしくはタルト生地に、たっぷりのココナッツ入りカスタードクリームを詰めて焼き上げた、中洋折衷のお菓子です。ココナッツのシャクシャク食感と、甘くまろやかなカスタード、サクサク生地のバランスが絶妙です。中華菓子の中では軽い食べ応えなので、月餅や胡麻団子のずっしりした甘さが苦手という方にもお勧めの一品です。

この椰撻(イエター)、中華街では蛋撻(タンター・エッグタルト)の親戚的な立ち位置で、あちこちのお店で売られています。主な原材料は小麦粉・玉子・砂糖・ココナッツ・ラードです。原材料は共通しているものの、食感や味わいがお店ごとに結構違います。ココナッツカスタードの部分が、水分少なめのかりっとジャクジャク系か、水分多めのしっとりシャクシャク系かに大別されてる気がする。のっきーは後者のしっとりシャクシャク食感が好きで、イチオシのお店はトップ画に描いた「翠香園(すいこうえん)」です。翠香園は中華街に店を構えて八十余年の老舗で、市場通りにあります。丁寧で伝統的な菓子作りに長年のファンが多いお店です。月餅に煎堆(チントイ・ごまだんご)に馬拉糕(マーラーカオ)に中華まんに、何を買ってもしっかり美味しい。数あるメニューの中で人気No.1がこの椰撻(イエター)です。翠香園の椰撻(イエター)はサクサクのパイ生地に、ココナッツとカスタードのしっとりホロホロのあんが詰まっていて、ひとたびかじればココナッツの繊維がはじけるシャクシャク食感。中華菓子の中では甘さが控えめで、生菓子のみずみずしさを感じる一品です。

そしてなんと言ってもこのビジュアル!中国版のWikipediaにある、椰撻(イエター)の写真そのままです。

zh.wikipedia.org

これこれ。このドレンチェリーの載ったバージョンは中華街の中でも翠香園でしか見たことがない。かわいいね〜。翠香園で椰撻(イエター)をお買い求めの際は、午後の13時〜15時あたりに行くのがお勧めです。午前中は日持ちするお菓子以外の陳列棚が空っぽだから、消費期限が短いものは午後イチで出せるように作ってるのかな?翠香園でもうひとつお勧めなのが花巻(肉まんの皮だけ)です。手間ひまかけた老麺発酵のほんのり甘い生地で、とても味わい深いです。あと叉焼(チャーシュー)も隠れた逸品。香港スタイルの水飴をかけて作る蜜汁叉焼で、肉の旨みがギュッと詰まっています。両方を合わせた叉焼包もまた絶品で……、書いてたらまた行きたくなってきた。

椰撻(イエター)、タピオカに次ぐネクストブレイクスイーツになり得ると思うんだけど、流行りまくって粗製濫造されて欲しくない気持ちもある。あと流行って欲しいのはあくまで翠香園のあの味なんだよねえ。

ここまで読んで「椰撻(イエター)食べてみたい!」「でも横浜まで簡単に行けないよ!」と思った方もおられると思うので、美味しい「椰撻(イエター)」が通販できるお店を一軒貼っておきます。

a.r10.to

翠香園と同じく、中華街の老舗、「同發(どうはつ)」の椰撻(イエター)です。全体的にしっとりホロホロ、ココナッツのシャクシャク感も感じられる一品で、翠香園と味の方向性が同じです。お値段もひとつ180円とお手頃。送料が結構かかっちゃうので、年末年始のご馳走用に、これまた美味な同發の点心と一緒に頼むのも良いかもしれません。

最後に、この記事を書くのに調べた椰撻(イエター)の歴史を書きます。中国のネット記事をめっちゃ翻訳したからその努力を記しておきたい。

椰撻(イエター)は蛋撻(タンター)という、エッグタルトから派生してできたお菓子です。蛋撻(タンター)ポルトガルのパステル・デ・ナタという修道院のお菓子にルーツがあります。このパステル・デ・ナタがポルトガルの植民地だったマカオに伝わり、独自のアレンジを加えられ、中華風のエッグタルト「蛋撻(タンター)」となって広まりました。それが広州を経由して、イギリスの植民地だった香港に伝わり、ここでイギリスのカスタードタルトの要素が加わり、もう一つの蛋撻(タンター)が生まれました。現在香港ではポルトガル式のパイ生地の蛋撻(タンター)、イギリス式のクッキー生地の蛋撻(タンター)の2種類が売られています。そしてその香港で、海南人が蛋撻(タンター)の中身をココナッツにアレンジしたものが、今回ご紹介した椰撻(イエター)です。海南島は中国の最南端に位置し、「中国のハワイ」とも呼ばれており、名物のひとつがココナッツ。地元の名物を入れてみようと思ったのかなー?グッジョブ海南の人。翠香園の椰撻(イエター)はパイ生地なので、ポルトガル式なんですね。椰撻(イエター)も蛋撻(タンター)もお菓子としては古典的なイメージで、現地では売っている場所が少なくなって来ているそうです。日本で再ブレイクしたらいいのにな。

a.r10.to

同發は本館でやってる香港スタイルランチも美味しいよ。